安定型愛着を手に入れるには?自分を癒やし、他者を信頼する方法

私たちが持つ「愛着スタイル」は、幼少期に形成される対人関係の土台と言われています。しかし、必ずしも幼い頃の環境や人間関係が理想的だったとは限りません。
成長の過程で、信頼できる相手を得られなかったり、安全とは言えない環境で過ごしたりすると、不安型や回避型などの愛着スタイルを身に付けてしまう場合があります。
それでも、大人になってから「安定型愛着」を目指すことは不可能ではありません。本記事では、安定型愛着とは何か、自分を癒やしながら他者を信頼するための具体的な方法を解説します。
安定型愛着とは?

愛着スタイルの4タイプ
愛着理論では、大きく分けて以下の4つの愛着スタイルがあるとされています。
- 安定型愛着(Secure Attachment)
- 自分と他者の双方に対して比較的肯定的なイメージを持つ。
- 人との距離感の取り方が安定しており、適度に頼ったり頼られたりできる。
- 不安-回避型愛着(Avoidant Attachment)
- 他者に対して距離を取りやすく、甘え下手。
- 自分でなんとかしようとする一方、内面に孤独感や不安を抱えがち。
- 不安-アンビバレント型愛着(Ambivalent Attachment)
- 他者の反応に過敏で、相手に対して強く依存しやすい。
- 見捨てられ不安が強く、相手の言動に一喜一憂しやすい。
- 恐れ-回避型愛着(Disorganized Attachment)
- 相手に近づきたい気持ちと、恐怖や不安感の間で葛藤が大きい。
- 行動や思考がまとまりにくく、一貫性が欠けるとされる。
安定型愛着の特徴
安定型愛着を持っている人は、基本的に「自己肯定感が高い」「他者を信頼しやすい」「対人関係に柔軟でストレス耐性がある」という傾向があります。もちろん、完璧に不安や葛藤がないわけではありませんが、自分の気持ちを整理しやすく、困った時には周囲を頼ることができるため、心の健康を保ちやすいのが特徴です。また、周りの人に対しても一定の距離感を保ちながらサポートできるため、人間関係が安定しやすいとされています。
大人になってから安定型愛着を手に入れるのは可能?

「子どものころに形成される」と言われがちな愛着スタイルですが、大人になってからでも変化の余地は十分にあります。たとえ幼少期の環境が不安定だったとしても、その後の出会いや体験、自己理解・自己肯定感を高めるプロセスなどを通じて、自分自身の愛着スタイルを徐々に修正し、安定型に近づけることができます。
ただし、愛着スタイルは長年の思考パターンや行動習慣と深く結びついているため、短期間で劇的に変わることはまれです。焦らずに少しずつ「安全ベース」を築いていく意識を持つことが大切です。
安定型愛着へシフトするためのステップ
自己理解を深める
第一歩は、自分の愛着スタイルを正しく把握し、なぜそのようになったのかを理解することです。過去の家族環境やトラウマ的な体験、人間関係での失敗など、振り返るのはつらい部分があるかもしれません。しかし、その背景を認知することで、「自分の不安や回避傾向は過去の経験が元になっている」と客観的に捉えやすくなります。
- セルフチェック
書籍やオンライン診断などで簡易的に愛着スタイルをチェックし、特徴を把握する。 - カウンセリング・セラピー
プロの力を借りることで、幼少期の経験や思考パターンをより深く掘り下げられる。
3自己肯定感を高める

安定型愛着を身に付けるうえで欠かせないのが「自己肯定感」です。自分自身を肯定的に捉えられるようになると、他者に対しても自然と寛容になり、適度に頼ったり頼られたりする関係が築きやすくなります。
- できたことリストを作る
1日の終わりや週末などに「自分がうまくできたこと」「頑張ったこと」を書き出す。小さな成功体験でも積み上げることで、自分の成長や努力を客観的に評価しやすくなる。 - セルフトークの見直し
「どうせ自分なんて」「失敗するに決まっている」といったネガティブな独り言を意識し、言い換える練習をする。「自分ならきっと成長できる」「失敗しても次に活かせる」など、前向きな言葉を取り入れる。
安全な人間関係を構築する

自分一人で安定型愛着を育むのは難しいものです。周囲の人との関係の中でこそ、「信頼しても大丈夫」という感覚や「困った時に助けを求めてもよい」という安心感が育ちます。
- 信頼できる人を見極める
親密さを急に求めるのではなく、小さな頼みごとをしてみたり、自分の弱みを少しだけ打ち明けてみるなど、少しずつ「信頼関係」をテストしてみる。相手が応えてくれるようなら、徐々に心を開いていく。 - 境界線を尊重する
親しさと境界線のバランスが適切に取れる関係は「安全基地」になりやすい。一方的に依存したり、逆にまったく頼れない関係は安定しづらい。
感情のコントロールと表現を学ぶ
感情の波に振り回されてしまうと、不安型や回避型の傾向が強まることがあります。安定型愛着を目指す上では、自分の感情を適切にコントロールし、建設的な形で表現することが重要です。
- マインドフルネスや呼吸法
ストレスや不安を感じたときに、深呼吸や短い瞑想を取り入れると、心を落ち着かせることができる。 - アサーション(自己主張)トレーニング
「自分もOK、相手もOK」という前提で、感じたことや考えを率直に伝える練習を行う。攻撃的でも受け身でもない、対等なコミュニケーションのスキルが身に付く。
自分を癒やすための具体的アプローチ

インナーチャイルドワーク
幼少期の傷ついた自分(インナーチャイルド)を癒やすことで、現在の不安や回避傾向を和らげる効果が期待できます。具体的には、「小さい頃の自分」に手紙を書いたり、想像の中で抱きしめたり、「その頃欲しかった言葉」を自分自身にかけてあげるなどの方法があります。
自己メンテナンスの習慣化
心身の健康は密接に関係しています。適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠を確保するだけでも、精神面の安定につながりやすくなります。また、お風呂にゆっくり浸かる、趣味に打ち込むなど、自分が心からリラックスできる時間を意識的に作ることも大切です。
他者からのサポートを受け入れる
回避型の人は「助けを求めるのは弱さ」と感じてしまうことがあります。しかし、自分が癒やされるためには、時に他者の力を借りる勇気が必要です。友人や家族、専門家など、頼れる人がいる場合は遠慮せずに相談してみましょう。
他者を信頼するためのコミュニケーション術
オープンクエスチョンを使う
相手に何かを問いかける際、Yes/Noで答えられる質問ではなく、相手の考えや感情を引き出すオープンクエスチョンを意識してみてください。「どう思う?」「どんな気持ちがあった?」などの質問を投げかけることで、相手を尊重し、深いコミュニケーションを築きやすくなります。
相手の視点を想像する
愛着スタイルが不安定だと、自分の視点や不安ばかりに意識がいきがちです。相手がどんな考えや事情を抱えているのか想像する習慣をつけると、過度な誤解や思い込みを減らし、より客観的・安定的なコミュニケーションが可能になります。
境界線を明確にしつつ、適度に頼る
信頼関係を築くうえで大切なのが、相手との適切な距離感です。依存しすぎず、かといってまったく頼らないのでもなく、「自分にとって必要なサポート」を相手に具体的に伝えましょう。上手に助けを求める姿勢を持てば、相手も気持ちよくサポートしてくれるはずです。
長期的な視点で取り組むコツ
安定型愛着を獲得するのは、短期的には難しいかもしれません。しかし、以下のポイントを押さえることで、長い目で見た時に着実に変化が期待できます。
- 小さな成功体験を積み重ねる
たとえば「今日の面談で自分の意見をしっかり伝えられた」など、自信につながる出来事を記録する。 - 失敗や後悔を受け入れ、次に活かす
うまくいかないことがあっても自己否定に陥らず、そこから学べることを見つける。 - サポートネットワークを大切にする
友人や家族、専門家など、いざという時に頼れる存在を確保しておく。
まとめ
安定型愛着は、人間が持つ「他者を信頼し、自分も安心して過ごせる」という理想的な心の状態を象徴しています。幼少期の環境や過去のトラウマが原因で、不安や回避の傾向が強い人も少なくありません。しかし、成人後であっても自己理解を深め、自己肯定感を育て、周囲との信頼関係を少しずつ築くことで、安定型愛着へと近づくことは可能です。

そのためには、感情のコントロールや表現方法を学んだり、インナーチャイルドを癒やすワークを取り入れたり、専門家の力を借りたりと、継続的な努力が必要です。大切なのは、「自分のペースで、ゆっくりでも前進する」という姿勢でしょう。失敗や壁にぶつかることもあるかもしれませんが、その都度「なぜうまくいかなかったのか」を振り返り、次のステップに繋げていけば良いのです。
自分を大切に扱うセルフケアと、他者を尊重しながら適度に助けを求める勇気を持つことで、人は少しずつ「安定型愛着」に近づいていきます。焦らずに取り組み、あなた自身が心から安心できる人間関係と豊かな人生を築いていくことを願っています。